【概要】
ちまたではワークマン女子というキーワードも流行っているが、そんな何かと話題のワークマンが暴露本を出していた。その名も「ワークマンはなぜ2倍売れたのか」流通業界で働く上でのヒントがあるのでは?と手に取ってみた。興味があれば、手に取って読んで見てほしい。
【ワークマンとは】
元々、作業服を専門に扱うFC事業主体の小売業。2018年9月に商品は同じで見せ方のみを変えた新業態「ワークマンプラス」が日経トレンディヒット予測1位も取得。アパレル企業では実に、2000年ユニクロ以来の快挙。コロナ下でも売上、株価共に鰻登り。国内店舗数はユニクロを超える。
【FC経営】
・小売業は地域密着が大原則→地元の人が店を運営→FC経営
・松下幸之助「1000億円の企業を経営できる人材を育てるのは難しいが、100億円の企業を経営できる人材を10人育てることはあまり難しくない。」(参考)
→ワークマンは1億円の企業経営者を1000人か
・ワークマン土屋専務「経験則からフードサービスは売場面積を一段小さく、小売は一段大きくした方が良い」 →60坪(198m2)
【ワークマンの特徴】
・セブンイレブン 店内3000SKU 本部6000SKU
・ワークマン 100坪 店内1700種類のアイテム
・原価率目標35% 家賃3% 10%以上の営業利益
・ワークマンプラス1号店ららぽーと 年間売上目標1億2000万を3ヶ月で達成。
・ABテストから、「3キロ圏内人口30万人近くあり、駅から徒歩5分、10分以内がヒットの条件」
・時価総額8600億、日本マクドナルド超えも
・売価還元法→期末と期首の販売額の差を在庫にするという簡易的な在庫管理の決算
・7−10時プロ客 10−17時一般客 17ー20時プロ客中心
・土屋専務「職人客は一般客より駐車場回転率が3倍良い」「3、4台で足りる。」
【システム関係】
・善意型SCM 全店の売上高や在庫状況、需要予測システムの推奨出荷数までベンダーへ公開→どれだけ納品するのかをメーカー判断に委ねる。
→納品を全部任せて、全部引き取り、文句を言わない。
→メーカー担当者は責任を感じてくれる。
→欠品が減り、在庫回転率上昇。
・VMI(ベンダーマネージドインベントリー)→メーカーが納品先近くに倉庫を構え、在庫を持つ必要あり。メーカーの在庫負担や機会損失ペナルティが大きかったが、ワークマンは一括無条件買取。
・信頼関係構築のため、10年以上の付き合いが基本。
・需要予測発注システムは誤差±20%でまず始動。→運用していく中で試行錯誤
・生産は2/3中国、残り東南アジア 閑散期を狙い一括注文
・群馬伊勢崎倉庫7140坪(23600m2)滋賀竜王倉庫1万坪(33000m2)
【商品関係】
・商社やメーカーを挟まず、工場と直接やりとり→マージンを省く。
・全工場に同じ仕様で見積もりを出す。→製造する工場を決める。→毎年の緊張感から品質向上へ→時には増産で報いる。
・アメリカ アンダーアーマーの製品を手がける工場もある。高品質。
・「糸」から改良することで、価格を抑える。商社を挟まない。
・改良アイディアは海外の展示会でマイナー品を参考にしている。
・縫製作業を省くためにシューズにニットアッパーを採用。人件費削減。
・店頭商品はロングテール戦略。職人アイテムを少量ずつ置く。
・透湿度3000とは24時間で3000gの水蒸気を排出する。
・メリノウール靴下580円。産地はオーストラリアエクストラファインメリノ(等級最上級でウール混紡率60%)大量発注で市場価格の3分の1
・作業服には10年の供給保証で参入障壁を高めた。
・閑散期に1年分をまとめて発注→コロナ蔓延時には生産を終えていた。
【広報関係】
・SNSの声「実は別用途に使ってます!」→適切な用途を提案できていなかったことが判明→見せ方を変更→ワークマンプラスの誕生。
・ブロガー向け商品発表会開催
・売上5%成果報酬アフィリエイトプログラム展開(2016)
・アンバサダーマーケティング→効果測定(増加倍率、リーチ数、エンゲージ率)
・アンバサダーを紹介する(QRつきPOP)代わりに、アンバサダーに商品紹介をお願いする。→販促費をかけないことが目的。→先日紹介したストーリーテリングマーケティングでは自らがアンバサダーになっていたが、これを外部から探し出す。
・アンバサダーには無報酬、根からのファンを起用することでエンゲージ率3%超。これを販促費ゼロで達成。
<(平均)>
ファッション 3.28%
メディア 4.49%
小売 5.36%
美容・化粧品 5.28%
エンターテイメント 7.71%
ライフスタイル 4.06%
日用品 6.98%
・一般客 証明、香り、音楽をリラックスモードに
・AIファッションチェック導入検討
・ユニセックス(男女兼用)の提案→男性にも女性にも自分の売り場とわかる工夫が必要。
・顧客同士をコネクテッドする→SNSなど
・英国ドラッグストア「ブーツ」、老舗スーパー「マークスアンドスペンサー」店舗受け取り7割以上
・狭い土地に店舗密集の香港は通販発達してない。
・店で選んでネットで買うショールーミングと逆のネット通販展開
【出店関係】
・年間出店ペース25→40に引き上げ
・都心ターミナル駅周辺商業施設、東京なら山手線、大阪なら環状線沿い 錦糸町中野など
【その他】
・客単価ワークマン2800円超、コンビニ5−600円
・年間300万までの懸賞金
・ヤング加盟店支援制度39以下
・コンビニロイヤルティ、売上に応じて比率上がる→ワークマン一律60%
・SV120名超、平均8店舗担当
・職人比率高い100店舗以外は全てワークマンプラスへ
・PB比率30%→60%近くなった
・中国企業に委託してネット販売を計画
・来店1日150人 コンビニ1000人
・ユニクロはベーシックを追求、アパレルど真ん中、日常生活へ。
・ニトリは価格帯を抑えた。
・2025年1000店舗目標だったが既に900店舗。
・専務「中小商圏でも50坪の店舗を出せば1500〜2000店舗出せるポテンシャル」
・コトにお金をかけるには、買うモノを安くする。可処分所得は買わないため。
・世の中ものが飽和→良い商品だけでなく、盛り上がりがないと店に来ない。→アンバサダーマーケティングをはじめとしてエンターテインメントの導入。
【まとめ】
結論、特に気になったのは、
新業態ワークマンプラスは見せ方を変えることで、潜在ターゲットへの適切なマーケティングを図れた。つまり1種のコンサルティングである。
商品は閑散期に一括発注をすることでコストダウン。
素材も自社開発。商社、メーカーを挟まない。工場にも自ら交渉。
作業服等の必需品はロングテール戦略を取り入れることで固定客を作る。
ユニクロはベーシック、ニトリはプライスライン、ワークマンは機能性。
ネットで選んで店で買う「Clickアンドcollect」
FCオーナーは地元の人。
善意型SCMとデータ開示で取引先をうまく活用。
広報にはアンバサダーマーケティングを採用しコストをかけない。QRコード紹介でwinwin。
など、高品質のものを安く提供できる理由が見えてきたのではないか。